永住申請お役立ちコラム

【2026-2027年】永住制度はこう変わる ― 申請者・永住者が知っておくべき全変更点
- 2026年08月21日


2027年4月施行の改正入管法で、永住権が取り消される事由が拡大されます。税金・社会保険料の故意の未納など、永住が取り消される7つのケースと、それぞれの防止策を、永住申請専門の行政書士がわかりやすく解説します。
取消しの対象はあくまで悪質なケースに限られるため、ルールを守って暮らす方が過度に恐れる必要はありません。
目次
永住者の在留資格(いわゆる永住権)は、在留期間の更新が不要で、活動の制限もない、もっとも安定した在留資格です。しかし、一度取得すれば絶対に取り消されない、というわけではありません。
さらに2024年の入管法改正により、永住者が在留資格を取り消される事由が拡大され、2027年4月1日に施行されます。「税金や社会保険料の未納で永住が取り消される」といった報道を目にして、不安を感じている方も多いと思います。
ただ、最初にお伝えしておきたいのは、取消しの対象となるのは、あくまで「悪質」と判断されるケースに限られるということです。ルールを守って誠実に暮らしている永住者の方が、ささいなことで突然取り消されるような制度ではありません。
この記事では、永住権が取り消されうる7つのケースを整理したうえで、それぞれをどう防げばよいのか(対策)を中心に解説します。やるべきことを知っておけば、過度に恐れる必要はありません。
7つのケースに入る前に、全体像を押さえておきましょう。
ここで挙げる7つのうち、多くは入管法第22条の4が定める在留資格の「取消し」にあたります。これは永住者を含むすべての在留資格に共通する制度です。そのなかでも、ケース4〜6は2024年の改正で新しく加わった事由で、2027年4月1日に施行されます(施行日は令和7年政令第340号により確定しています)。「2027年の法改正」で新しく問題になるのは、主にこのケース4〜6だとお考えください。
一方で、ケース2(再入国許可を取らずに出国した場合)だけは、性質が異なります。これは「取消し」ではなく、再入国許可制度に関する在留資格の「失効」です。最後のケース7は、全体に共通する注意点です。
なお、それぞれの法律上の根拠(何号にあたるか、取消しか失効か)は、各ケースの説明のなかで触れていきます。
(1)永住申請のときに、提出書類や申告内容に偽りがあった場合です。たとえば収入や経歴を偽る、虚偽の書類を提出するなどが典型例です。これは取消しのもっとも基本的な事由で、永住を取得した後に発覚した場合でも対象となり得ます。
(2)対策:申請の段階で、事実に基づいた正確な書類を提出することに尽きます。不安な点があれば、自己判断で「とりあえずこう書いておこう」とせず、専門家に相談して正しく申請することが、将来のリスクを断つ確実な方法です。
(1)永住権を失う例として実際にもっとも多いのがこのケースです。ただし、これは入管法第22条の4の「取消し」ではなく、再入国許可制度に関する在留資格の「失効」です。永住者であっても、再入国許可(みなし再入国を含む)を取らずに出国し、一定期間を超えて日本に戻らないと、在留資格を失ってしまいます。
(2)みなし再入国(出国時に空港などで申し出る簡易な手続き)は出国から1年以内、通常の再入国許可でも上限の期間があります。「永住者だから何年でも海外にいて大丈夫」というのは誤解です。海外赴任、長期の里帰り、介護や出産での一時帰国などで、うっかり期間を超えてしまう例が見られます。
(3)対策:長期で日本を離れる予定があるなら、出国前に必ず再入国許可を取得してください。再入国許可は日本国内でしか手続きできず、海外の大使館では基本的に対応できません。1年を超える可能性があるなら、みなし再入国ではなく通常の再入国許可を取り、期間内に再入国するか、必要なら延長の手続きを検討しましょう。
(1)中長期在留者(永住者を含む)は、引っ越したら新しい住居地を届け出る義務があります。入管法上は原則として住居地を定めてから14日以内ですが、取消しの対象となるのは「90日以内に届け出なかった場合」や「虚偽の住居地を届け出た場合」です。引っ越し後に届出を忘れて所在不明になっているようなケースが該当します。
(2)対策:引っ越したら、市区町村の役所で住民登録(転入届)を行えば、住居地の届出も連動して行われます。役所での手続きを忘れないことが基本です。もし90日を過ぎてしまった場合でも、放置せず、できるだけ早く手続きと相談を行ってください。
(1)2024年改正で新しく加わった、もっとも注目されている事由です(入管法第22条の4第1項第8号)。所得税・住民税・国民健康保険料・年金などの公的な支払いを故意に滞納した場合、永住資格の取消しの対象になり得ます。
(2)ここで非常に大切なのは、「故意」かつ「悪質」なケースに限られるという点です。報道だけを見ると「未納が一度でもあれば即取消し」のように受け取られがちですが、そうではありません。入管庁も、支払う能力がありながらあえて支払わないような場合を想定しており、病気・災害・失業などやむを得ない事情で払えなかった人は対象外としています。また、単に支払い相談のために役所へ行っただけで通報されることも想定されていません。具体的な線引きは、入管庁が示すガイドラインで明らかにされる予定です。
(3)対策:税金・社会保険料・年金は、期限内にきちんと納める。これが基本にして最大の対策です。もし過去に滞納がある場合や、現在支払いが難しい場合は、放置せず、必ず窓口に相談してください。年金事務所では分納や免除(全額免除・一部免除・納付猶予など)の相談ができます。「払えないから黙っておく」ではなく、「払えないなりに正規の手続きを取っている」状態にしておくことが、「故意・悪質ではない」ことの何よりの証明になります。海外赴任などで日本を離れる場合は、出国前に納税管理人を選任しておくと安心です。
(4)なお、「あとから払えば必ず問題なし」というわけではない点には注意が必要です。入管庁は、差押えなどで結果的に納付されたとしても、それだけで取消しの対象外になるとは限らないとしています。実際に取り消すかどうかは、未納の額や期間、督促への対応状況などを総合して、個別に判断されます。早めに正規の手続きを取っておくことが何より大切です。
(1)こちらも改正で加わった事由です(入管法第22条の4第1項第9号)。対象は一定の重大な犯罪に限られています。具体的には、刑法の窃盗・詐欺・恐喝・殺人などの罪や、危険運転致死傷など、いずれも故意の重大な犯罪です。これらにより拘禁刑(旧・懲役/禁錮)に処せられた場合が対象になり得ます。
(2)一方で、過失による交通事故(過失運転致死傷)や、道路交通法違反、罰金刑にとどまる場合は、この事由の対象にはなりません。なお、これとは別の制度として、永住者であっても1年を超える実刑に処せられた場合は、原則として罪名にかかわらず退去強制の対象となることが従来からあります。両者は別の話なので、混同しないようご注意ください。
(3)対策:当然ながら、日本の法律を守って生活することが大前提です。万が一、刑事事件に関わってしまった場合は、在留資格への影響も含めて、早い段階で弁護士・行政書士などの専門家に相談することが重要です。
(1)在留カードの携帯義務違反など、入管法上の各種義務に違反した場合のうち、軽微なものを除いた悪質なケースが対象です(ケース4と同じく第22条の4第1項第8号に規定されています)。入管庁は、うっかり在留カードを携帯しなかった場合や、うっかり更新申請を忘れた場合に取り消すことは想定していないと説明しています。もっとも、義務を継続的・意図的に無視するような態度は問題視されます。
(2)対策:在留カードの携帯、各種届出など、永住者であっても求められる手続きはきちんと守ること。一つひとつは小さなことですが、「ルールを誠実に守っている」という積み重ねが、結果的に自分を守ります。
(1)最後は、見落とされやすい注意点です。上記のケースは、それぞれ単独でも問題ですが、複数が重なったり、長く放置されたりすると、「悪質」と判断されやすくなります。
(2)また、永住者は在留期間の更新は不要ですが、在留カード自体には有効期間があり、定期的な更新が必要です。有効期間は券面に記載されており、永住者の場合、2026年6月14日より前に交付されたカードは交付から7年、同日以降に交付される新様式のカードは交付日後の10回目の誕生日まで(18歳未満は5回目の誕生日まで)となります。これを忘れていると、思わぬトラブルにつながることがあります。
(3)対策:「永住者だから手続きはもう何もない」と思い込まないこと。在留カードの有効期間を確認し、更新時期を忘れないようにしましょう。気になる問題が複数あるなら、放置せず、早めにまとめて専門家に相談するのが安全です。
(1)不安をやわらげるために、手続きの流れも知っておいてください。取消事由の疑いがあると判断された場合でも、いきなり取り消されるわけではありません。入国審査官が事実関係を調査し、本人に意見を述べる機会(意見聴取)が与えられます。
(2)意見聴取の通知が届いたら、必ず期日に対応し、事情を丁寧に説明することが大切です。代理人を立てて意見を述べたり、証拠を提出したりすることもできます。「気づいたら永住を失っていた」という事態を避けるためにも、通知や役所からの連絡を放置しないことが何より重要です。
(3)なお、新しい取消事由に該当した場合でも、ただちに出国となるわけではなく、多くの場合は「定住者」など別の在留資格への変更が検討されるとされています。処分に不服があるときは、取消訴訟などで争うこともできます。
7つのケースを見てきましたが、防ぐための対策をまとめると、実はとてもシンプルです。
これらを守っていれば、ほとんどのケースは避けられます。2027年の法改正は、誠実に暮らす多くの永住者を脅かすためのものではなく、一部の悪質なケースに対応するためのものです。必要な手続きを守っている方は、過度に心配する必要はありません。
とはいえ、「過去に滞納がある」「海外赴任の予定がある」「すでに届出が遅れてしまった」など、個別に不安がある方もいらっしゃると思います。当事務所は永住申請・永住者のサポートを専門に取り扱っています。ご自身の状況が取消事由に当たらないか確認したい方、対処の方法を知りたい方は、お気軽にご相談ください。
| 2018年8月 | ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立 |
|---|---|
| 2022年4月 | 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」 |
| 専門分野 | 外国人在留資格、帰化申請 外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応 |
| セミナー実績 | 国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数 |
| 運営サイト | 行政書士法人タッチ 国際結婚&配偶者ビザサポートセンター 帰化申請サポートセンター 就労ビザサポートセンター 永住ビザサポートセンター 経営管理ビザサポートセンター アメリカビザサポートセンター ビザサポートセンター |
スムーズな申請に向けて、
まずは無料相談をご活用ください